毎月の生理が近づくと、心や体に不調を感じる女性は少なくありません。仕事や家事、プライベートにも影響することがあるこれらの症状。もしかすると、それは「PMS」や「PMDD」が関係しているかもしれません。本記事では、PMSとPMDDの基礎知識に触れながら、治療法や予防策について詳しくご紹介します。
PMSとPMDDとは?
PMS(Premenstrual Syndrome: 月経前症候群) は、生理の数日から2週間ほどにわたり、心や体にさまざまな不調が現れる状態を指します。症状は人それぞれですが、以下のようなものが一般的です。
〇イライラや気分の浮き沈み
〇胸の張りや腹部の不快感
〇疲労感や頭痛
一方で、PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder: 月経前不快気分障害) は、PMSよりも特に精神的な症状が強く、日常生活や人間関係に大きな影響を及ぼすような状態を指します。主な症状には以下が含まれます。
〇激しい気分の落ち込み
〇怒りやすくなる
〇不安感や絶望感
これらの症状は、生理が始まると改善するのが特徴です。
PMSとPMDDの治療法
PMSやPMDDの治療には、症状の重さや個人の生活スタイルに応じてさまざまな方法があります。
1.薬物療法
症状が強い場合は、医師の診断のもと薬物療法を行うことがあります。
■ホルモン療法(低用量ピル)
ホルモンバランスを整えることで、PMSやPMDDの症状を軽減します。
■抗うつ薬
特にPMDDの精神症状に対して効果が期待できます。一部のケースでは、生理前の数日間だけ服用することも可能です。
■鎮痛剤
頭痛や腹痛など、体の症状に対処するために使用します。
2.カウンセリング
特にPMDDのような精神症状がある場合、専門家によるカウンセリングが役立つことがあります。気持ちを言葉にすることで、ストレスを軽減したり、自分の気持ちを整理するきっかけとなります。
PMSとPMDDを予防する生活習慣
治療と併せて、日常生活での工夫が症状の改善に役立つことがあります。
1.バランスの取れた食事
食事はホルモンバランスに大きな影響を与えます。特に以下を意識しましょう:
■糖質を控えめに
血糖値の急激な変動を防ぎます。カルシウムとマグネシウムを摂取:神経の安定や筋肉の緊張緩和に役立ちます。
■カフェインを控える
過剰なカフェインはイライラや不安感を助長することがあります。
2.適度な運動
軽いジョギングやヨガなどの有酸素運動は、ストレスを軽減し、体調を整える効果があります。無理のない範囲で、週に数回取り入れてみましょう。
3.質の良い睡眠
睡眠不足は症状を悪化させる原因となります。毎日同じ時間に寝起きする習慣をつけ、睡眠環境を整えましょう。
4.ストレス管理
リラクゼーション法や趣味に没頭する時間を作ることで、ストレスを軽減することができます。
PMSとPMDDのセルフチェック
以下の項目に心当たりがある場合、PMSやPMDDの可能性があります。
1.生理前になると強いイライラや落ち込みを感じる。
2.家族や友人との関係に悪影響が出る。
3.体がだるく、何もする気になれない。
4.生理が始まると、症状が改善する。
これらの症状が毎月繰り返し起きる場合は、医療機関で相談してみてください。
症状がつらいときは一人で抱え込まないで
PMSやPMDDは、決して「気のせい」や「我慢すべきもの」ではありません。医療機関を受診することで、適切な治療を受けられる可能性があります。また、症状を軽減するための日常生活の工夫も大切です。
毎月のつらさを少しでも減らし、自分らしい生活を送るために、一度ご自身の体や心の状態に目を向けてみてはいかがでしょうか?
この記事を通して、PMSやPMDDに悩む方が自分の症状を知り、必要なサポートを受けるきっかけになれば幸いです。
当院では、女性医師が同じ女性目線にたった診療を行なっております。男性医師には相談しづらく感じる悩みも安心してご相談いただけます。
精神的な症状でお困りの場合は、一度ご相談ください。
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