年末が近づくと、「何となくやる気が出ない」「涙が止まらない」「身体が重い」といった不調を訴える方が増えます。
仕事の締め切り、家庭での役割、イベントごとなど、年末ならではの忙しさやプレッシャーが心身に大きな負担をかけるためです。
「疲れているだけ」と思い込んで放置してしまう方も少なくありませんが、中には“隠れうつ”と呼ばれるメンタル不調が隠れていることも。
本記事では、年末に起きやすい“隠れうつ”の特徴と、早めにできる対処法について解説します。
年末に“隠れうつ”が増える理由
1. ストレス要因が一気に増える時期だから
年末は、仕事の追い込み、家庭の準備、イベント続きなど、普段以上にストレスが積み重なりやすい季節です。
気付かないうちに心のキャパシティを超えてしまい、突然涙があふれたり、急に無気力になったりすることがあります。
2. 心身の疲労がピークに達しやすい
「年末までに終わらせなくては」という気持ちが強いほど、休む時間が減り、疲労が蓄積。
気力がわかなくなり、だんだんと生活全体のリズムが崩れてしまうことも。
3. 日照時間の減少も影響する
冬は日照時間が短く、セロトニンと呼ばれる“心の安定に関わる物質”が減少しやすい時期です。
そのため、季節の変化が気分の落ち込みを引き起こすこともあります。
“隠れうつ”のサインとは?
次のような状態が数日〜2週間以上続く場合、メンタルの不調が背景にある可能性があります。
- 何もする気が起きず、仕事・家事に手がつかない
- 急に涙が出る、感情が不安定になる
- 寝ても疲れが取れない、朝起きられない
- 食欲が落ちる、または過食気味になる
- 人と話すのがつらい、外出したくない
- ミスが増え、集中力が続かない
- 「消えてしまいたい」とふと思う
これらは一般的な疲れでも起きることがありますが、年末のストレスや日照不足が重なることで“うつ状態”に近づくことがあります。
自分でできる年末のメンタルケア
1. 完璧を求めすぎない
年内にすべてを終わらせる必要はありません。
「来年でも大丈夫なこと」を仕分けし、優先順位を下げるだけでも心の負担が軽くなります。
2. 朝日を浴びて生活リズムを整える
冬季は特にセロトニン不足になりやすいため、朝の光を浴びることが効果的です。
軽い散歩だけでも気分が変わることがあります。
3. 睡眠を削らない
忙しい時期こそ睡眠が大切。
寝る前のスマホを控え、ぬるめの入浴で身体を温めると寝つきがよくなります。
4. 誰かに気持ちを話す
家族や友人に話すだけでも心理的な負担が軽減します。
声に出すことで、自分が思っていたよりつらかったことに気づく人も多いです。
医療機関に相談すべきタイミング
以下にあてはまる場合は、年末のストレスだけではなく、うつ病や不安障害・適応障害などの可能性があります。
- 気分の落ち込みが2週間以上続く
- 仕事や日常生活が続けられない
- 食事も睡眠も乱れている
- 「消えたい」と思う瞬間がある
- 何も楽しめない状態が続く
早めに相談することで、軽い段階から治療の選択肢が広がり、回復も早くなります。
当院では、女性の医師・女性スタッフによる環境で、相談しやすい雰囲気づくりを大切にしています。
まとめ:年末の不調は心のサインかもしれません
年末の“やる気ゼロ”“涙が出る”“何もできない”という状態は、あなたが弱いからではなく、
ストレス・疲れ・季節要因が重なって心が悲鳴を上げているサインです。
ひとりで抱え込まず、休むことを許し、必要であれば医療機関に相談してください。
早めに対処することで、年末年始を少しでも穏やかに過ごすことができます。
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