「最近、なんだかずっと疲れている」「夜になっても眠れず、朝もスッキリ起きられない」──そんなお悩みを抱えていませんか?
病院に行くほどではない気がするけれど、以前より体が重く感じたり、気分が落ち込んだりして、日常生活に支障が出ている。こうした不調の裏には、「自律神経の乱れ」が隠れていることがあります。
本記事では、慢性的な疲労感や睡眠の問題が、自律神経の不調とどう関係しているのか、どんなときに受診を考えるべきかをわかりやすくご紹介します。
自律神経とは? 体のバランスを整える“司令塔”
自律神経は、私たちの意思とは関係なく働く神経で、心臓の拍動や呼吸、体温調節、胃腸の動きなど、生命維持に関わる働きを24時間絶えずコントロールしています。
自律神経は2つの神経から成り立っています:
- 交感神経:活動時に優位になり、心拍数や血圧を上げるなど、体を「戦闘モード」にする神経
- 副交感神経:リラックス時に働き、心拍数を下げたり、消化を助けたりする「休息モード」の神経
この2つが状況に応じてバランス良く働くことで、私たちの心と体は健康を保っています。
自律神経が乱れるとどうなるの?
日々のストレス、過労、睡眠不足、生活リズムの乱れ、更年期などの影響で、自律神経のバランスが崩れると、さまざまな不調が現れるようになります。主な症状としては、次のようなものがあります:
身体の不調
- 朝起きても疲れがとれない
- 頭痛、めまい、耳鳴り
- 胃腸の不調(下痢・便秘・胃もたれ)
- 手足の冷えやほてり
- 動悸、息苦しさ
心の不調
- 不安感、イライラ
- 意欲の低下
- 集中力の低下
- 気分の落ち込み
睡眠の問題
- 寝つきが悪い(入眠困難)
- 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)
- 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
- 眠ったはずなのに疲れが取れない
これらは一見、内科や婦人科などさまざまな診療科の症状にも似ています。そのため、「何科にかかればいいかわからない」と感じてしまう方も少なくありません。
特に女性に多い? 更年期やライフイベントとの関係
30代後半〜50代の女性では、ホルモンバランスの変化も自律神経に大きく影響します。特に更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下により、自律神経の働きが乱れやすくなります。
また、仕事・家事・育児・介護といったライフイベントの重なりもストレス要因になり、慢性的な疲労や不眠を引き起こすことがあります。
自律神経の不調とどう向き合う? 日常でできること
自律神経の乱れを改善するには、生活習慣の見直しがとても重要です。以下のような工夫が効果的です:
- 規則正しい生活リズムを整える
・毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る
・朝日を浴びることで体内時計を整える
・食事は1日3回、バランスよく摂取する - ストレスを溜めすぎない
・短時間でもリラックスできる時間を確保する
・深呼吸や軽いストレッチ、趣味の時間なども有効です - 眠る前の“スマホ断ち”を意識
・寝る1時間前からはスマートフォンやPCを控え、脳を休める
・温かいお風呂やアロマなど、心身を落ち着かせる工夫を
それでも改善しないときは、医療機関へ相談を
生活習慣を見直しても「疲れが取れない」「眠れない」「心身ともに限界を感じる」といった状態が続く場合は、医療機関への相談をおすすめします。
心療内科や精神科では、カウンセリングやお薬、漢方などを組み合わせながら、症状に合わせた治療を受けることができます。
また、自律神経の乱れと似た症状を持つ他の病気(甲状腺疾患、貧血、睡眠時無呼吸症候群など)の可能性もありますので、自己判断せず、専門家による診断を受けることが大切です。
まとめ
慢性的な疲れや不眠は、「年齢のせいだから仕方ない」と見過ごされがちですが、日常生活に支障が出ている場合、それは体からのサインかもしれません。
「ちょっと気になる」「なんとなく調子が悪い」そんな時こそ、早めに医療機関へご相談ください。心と体のバランスを整えることで、本来の元気を取り戻すきっかけになるはずです。
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