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【医師監修】ワンオペ育児で夫に嫉妬…産後うつのサインを見逃さないで

産後は喜びに満ちた瞬間である一方で、母親としての責任や育児のストレスが重くのしかかる時期でもあります。特にワンオペ育児(ひとりで育児をこなすこと)は、精神的・身体的に非常に疲れるものです。そんな中、産後うつの症状の一つとして、「夫が仕事に出かけることに対して嫉妬を感じてしまう」ということがあります。この感情には、育児の負担感や孤独感、無力感などが絡み合っていることが多いです。この記事では、産後うつとワンオペ育児の関係、そして「嫉妬心」を感じる原因について解説し、どのように対処するべきかについて考えていきます。

1. 産後の心身の変化とワンオペ育児

産後、特に赤ちゃんが小さいうちは、昼夜を問わず育児に追われる日々が続きます。授乳、オムツ替え、夜泣き対応と、育児は24時間の仕事であり、休む暇がほとんどありません。特にワンオペ育児では、すべての責任が一人にかかり、肉体的・精神的な負担が増大します。

ホルモンバランスの変化も産後うつに影響を与えます。産後はエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの急激な減少が見られ、これが気分の不安定やイライラ、落ち込みを引き起こす原因となります。育児によるプレッシャーに加え、社会的な孤立感がさらに心を重くし、感情が乱れることも少なくありません。

2. 「仕事に出かける夫に嫉妬してしまう」その感情はなぜ生まれるのか?

ワンオペ育児の中で、夫が朝、仕事に出かける姿を見て、嫉妬や不満の感情が湧き上がることがあります。このような感情は、以下のような理由から生じることが多いです。

(1) 孤独感と孤立感

育児は特に最初の数ヶ月間、ほぼ一人で行うことが多いです。夫が外で働いている間、自分だけで子どもの世話をしなければならないというプレッシャーと孤独感が積もります。外で仕事をしている夫に対して、「私は家に閉じ込められている」という感情が生まれ、それが嫉妬心に繋がることがあります。

(2) 育児への不満

夫が家を出ることで、育児の負担が一層重く感じられることがあります。育児に対する責任感やプレッシャーを感じている中で、「なぜ私だけがこんなにも大変なのか?」という気持ちが募ります。その結果、夫の「自由に出かけられる時間」に対して、無意識に嫉妬の感情が湧き上がることがあります。

(3) 自分の役割とアイデンティティの喪失

出産後、母親としての役割に集中するあまり、自分自身のアイデンティティが失われることがあります。仕事に出かける夫を見て、「私は自分らしさを失っている」「社会と繋がる機会を持っていない」と感じることが、嫉妬の感情を引き起こします。特に、育児以外に自分の時間を持てない場合、自己肯定感が低下し、感情的に不安定になりがちです。

3. 嫉妬心をどう受け入れ、対処するか

嫉妬心は一時的な感情であり、それ自体が悪いわけではありませんが、長期間続くと心の健康に影響を与えます。では、どうすればこの感情をうまく乗り越えることができるのでしょうか?

(1) 感情を否定せずに受け入れる

まず最初に大切なのは、嫉妬心を感じる自分を否定しないことです。産後は感情の波が激しく、嫉妬や不安、イライラが湧いてくることがありますが、それは決して異常なことではありません。自分の感情を認め、受け入れることが、心の整理に繋がります。

(2) パートナーとのコミュニケーションを大切にする

嫉妬の感情が強くなる前に、パートナーとコミュニケーションを取ることが大切です。自分の気持ちを正直に伝えることで、パートナーに理解してもらいやすくなり、支え合う関係が築けます。育児の負担感や孤独感を共有することで、パートナーも自分の役割に気づき、協力してくれることが増えるでしょう。

(3) 自分の時間を作る

育児に追われる中でも、自分の時間を持つことは非常に重要です。少しの時間でも、趣味やリラックスできる活動に取り組むことで、心の余裕が生まれ、嫉妬心が和らぐことがあります。友人との会話や趣味の時間を作ることで、自己肯定感を高め、感情的なバランスを取ることができます。

(4) 専門家に相談する

もし、嫉妬心や不安感が長期間続き、日常生活に支障をきたすようであれば、心療内科やカウンセリングを受けることを考えてみましょう。専門家のサポートを受けることで、心の不調を軽減することができます。産後うつの予防や早期改善に繋がることがあります。

4. まとめ

産後のワンオペ育児は、母親にとって非常に大きな負担となり、その中で嫉妬心が生まれることがあります。しかし、この感情は理解し、対処することで解消できます。パートナーとしっかりコミュニケーションを取り、お互いの支え合いを強化することが、心の健康を保つために必要です。自分を大切にし、無理せずに心のケアを行いましょう。そして、もし感情が制御できなくなった場合は、専門家に相談することが大切です。産後うつやワンオペ育児のストレスを乗り越えるために、自分一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に活用しましょう。

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福永伴子

福永伴子

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院やクリニック等で精神科・心療内科医として勤務。2011年ともクリニック浜松町を開院。

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