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【医師監修】閉経と更年期うつ:ホルモンバランスの変化が与える影響

閉経と更年期うつの関係について説明します。閉経は女性にとって自然な生理的な過程であり、通常45歳から55歳の間に起こりますが、更年期うつ(更年期抑うつ)は、閉経を迎える時期に現れる精神的な症状の一つです。
これらの関係について理解することは、更年期の健康を支えるために重要です。

閉経とは

閉経とは、女性の月経が1年以上続かず、卵巣機能が完全に停止することを指します。生理的には、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンの分泌が減少し、それに伴って体のさまざまな変化が現れます。ホルモンの変動は、身体的な症状だけでなく、心理的な影響も及ぼすことがあり、これが更年期うつと関連しています。

更年期うつの症状

更年期うつは、女性が閉経を迎える時期に現れる抑うつ状態です。更年期うつは単なる気分の落ち込みや疲れを超えて、生活の質に大きな影響を与えることがあります。主な症状には以下が含まれます

〇気分の落ち込みや無気力
疲れやすく、何をしても楽しくないと感じることがあります。
〇過度の不安やイライラ
特に些細なことに対して過剰に反応したり、気持ちが安定しないことがあります。
〇睡眠障害
寝つきが悪くなる、夜中に目が覚める、または眠りが浅いなどの症状が現れます。
〇集中力の低下
思考がまとまりにくく、物事に集中できないことが多くなります。
〇体の痛みや不快感
体調がすぐれない、頭痛や筋肉の痛みが増加することがあります。

閉経と更年期うつの関連性

閉経と更年期うつの関係は主にホルモンの変動に起因しています。具体的な要因を挙げてみましょう。

1. エストロゲンの減少

閉経に伴い、エストロゲンというホルモンが急激に減少します。このホルモンは、気分の安定に関与しており、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの分泌を調整します。エストロゲンが減少することで、これらの物質のバランスが崩れ、抑うつ状態や不安、イライラを引き起こす可能性があります。

2. ホルモンの変動と脳への影響

ホルモンの急激な変動は、脳内の神経伝達物質に直接影響を与え、うつ症状を引き起こす原因となります。閉経を迎える女性は、身体的な不調(例:ホットフラッシュ、発汗、体調不良など)に加えて、これらの精神的な影響にも悩まされることが多いです。

3. 社会的・心理的要因

閉経と更年期うつの関係は、ホルモンの変動だけでなく、社会的・心理的な要因にも関連しています。たとえば、子どもの独立、家庭環境の変化、老後の不安、または自分の老化に対する感情が加わることで、気分がさらに不安定になることがあります。これらの心理的なプレッシャーが更年期うつを悪化させる可能性もあります。

更年期うつの診断と治療

更年期うつの診断は、医師が症状の詳しい調査を行い、閉経に伴う精神的な変化かどうかを見極めます。治療方法は、症状の程度に応じて以下のような方法が採用されます。

ホルモン補充療法(HRT)

エストロゲンの不足を補うためにホルモン補充療法が処方されることがあります。これにより、更年期に関連する症状を軽減することができます。

抗うつ薬

SSRIやSNRIなどの抗うつ薬は、神経伝達物質のバランスを調整し、気分を安定させる効果があります。

カウンセリング

精神的な支援が必要な場合、カウンセリングや認知行動療法(CBT)を通じて、考え方や感情の調整を行うことも効果的です。

ライフスタイルの改善

睡眠の質を改善したり、適度な運動をすることも有効です。ストレスを減らし、リラックスできる時間を持つことも大切です。

まとめ

閉経と更年期うつは密接に関連しています。ホルモンの急激な変化が心身に多大な影響を及ぼし、特にうつ症状を引き起こしやすくなります。更年期うつは一時的なものもあれば、長期的に続くこともありますが、早期に治療を受けることで症状を軽減し、より快適に過ごすことが可能です。気になる症状があれば、早めに専門の医師に相談することをお勧めします。

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福永伴子

福永伴子

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院やクリニック等で精神科・心療内科医として勤務。2011年ともクリニック浜松町を開院。

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