「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「朝起きても疲れが取れない」といった不眠の症状は、日常生活に大きな影響を及ぼします。特に、ある特定の職種ではこのような不眠の悩みを抱えやすいことがわかっています。
本記事では、不眠症になりやすい職種の特徴とその背景、そして改善のためのヒントについてわかりやすく解説します。
不眠症とは?
不眠症は、夜間の睡眠に障害があり、日中の生活に支障をきたす状態を指します。主な症状には、以下のようなものがあります。
- 寝つきが悪い(入眠困難)
- 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)
- 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
- 熟睡感が得られない(熟眠障害)
これらの症状が週に3回以上、1か月以上続く場合、不眠症と診断されることがあります。
原因はストレスや生活習慣、体の病気や心の不調などさまざまですが、職業的な要因も大きく関与することがあります。
不眠になりやすい職種とは?
以下は、実際に不眠の訴えが多く報告されている代表的な職種とその背景です。
1. 看護師・医療従事者
夜勤や長時間勤務が多く、交代制シフトによって体内時計が乱れやすい職種です。
命を預かる責任感や緊張感も重なり、心身ともに休まりにくい傾向があります。
2. ITエンジニア・プログラマー
深夜までの作業や急なトラブル対応があるほか、パソコンやスマートフォンなどのブルーライトの影響で、入眠が妨げられることもあります。
在宅勤務や夜間対応の増加も、昼夜の区別がつきにくくなる原因です。
3. コールセンター勤務・カスタマーサポート
クレーム対応やノルマのプレッシャーなど、精神的ストレスが大きいことが特徴です。
業務中の緊張状態が夜になっても続き、脳が覚醒したまま寝つけないケースもあります。
4. 運輸業(ドライバー・パイロット・鉄道職員など)
不規則な勤務時間や長時間運転が睡眠の質を下げる要因となります。
また、交通事故を防ぐための緊張感も、不眠につながる可能性があります。
5. 教職員・保育士
子どもを相手にする職種では常に気を張る場面が多く、さらに持ち帰りの仕事や保護者対応による精神的な疲労も影響します。
「責任感が強い人ほど眠れなくなる」といった傾向もあります。
なぜ職種によって不眠になりやすいのか?
不眠になりやすい背景には、以下のような要因が関係しています。
生活リズムの乱れ
夜勤やシフト勤務などで、毎日の睡眠・覚醒のサイクルが一定でない場合、体内時計が乱れやすくなります。
この体内時計のズレが、入眠困難や早朝覚醒の原因となります。
精神的ストレス
「責任の重さ」「対人ストレス」「評価プレッシャー」など、仕事に関連したストレスは睡眠の質に直接影響します。
ストレスがたまると、交感神経が優位になり、リラックスできず眠りにくくなるのです。
身体的な疲労と緊張
肉体労働や長時間の同じ姿勢による疲労、または常に気を抜けない緊張感なども、寝つきの悪さに影響します。
疲れているはずなのに眠れないという場合、心身の「オン・オフ」の切り替えがうまくできていない可能性があります。
不眠を改善するためにできること
どのような職種であっても、工夫次第で睡眠の質を改善することは可能です。
規則正しい生活習慣を整える
- 起床・就寝時間をなるべく一定に保つ
- 就寝前のスマホ・PCの使用を控える
- 夕食や入浴のタイミングを整える
ストレスマネジメントを意識する
- 深呼吸や瞑想、ストレッチでリラックス
- 寝る前に仕事のことを考えすぎない
- 自分の気持ちを整理する「日記」や「感情メモ」もおすすめ
寝室の環境を見直す
- 寝室は暗く静かな環境に整える
- 自分に合った寝具や枕を選ぶ
- 冷暖房による温度調整も重要
病院での相談も検討を
不眠が1か月以上続く場合や、日中の生活に支障が出ている場合は、医療機関への相談をおすすめします。
医師が問診や必要な検査を行い、原因に応じた適切な治療や生活指導を受けることができます。
まとめ
不眠は誰にでも起こりうる身近な症状ですが、特に職種によって起こりやすい傾向があることがわかっています。
看護師やITエンジニア、運転業務や教育関係者などは、生活リズムの乱れや強いストレスによって不眠に悩まされやすい傾向があります。
しかし、適切な生活習慣やリラックス法を取り入れることで、多くの場合は睡眠の質の改善が期待できます。
不眠が続いてつらいと感じるときは、一人で抱え込まずに、医療機関に相談することが大切です。
必要に応じて、医師による診断や治療を受けながら、ご自身に合った睡眠のかたちを一緒に探していきましょう。
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2025.08.11
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