冬になると、「なんだか育児がいつも以上につらい」「気分が沈みやすい」「イライラしてしまう自分に自己嫌悪を感じる」といった声を多く耳にします。
特に、子どもを優先するあまり、自分のことを後回しにし続けている保護者の方ほど、心身の疲れが表に出やすい季節です。
冬は寒さや日照不足によって体調を崩しやすく、気分の落ち込みや意欲低下が起こりやすい時期でもあります。そこに育児の負担が重なることで、ストレスが限界に近づいてしまうことも少なくありません。
本記事では、冬に育児ストレスがたまりやすい理由と、その対処法、医療機関へ相談すべきサインについて医師が解説します。
1. 冬に育児ストレスが増えやすい理由
① 外出しづらく、気分転換が難しい
寒さや感染症への不安から、冬は外出を控えるご家庭も多くなります。
その結果、家の中で子どもと過ごす時間が増え、息抜きの機会が減ってしまいます。
- 公園に行けない
- 室内遊びが続く
- 一人になる時間が取れない
こうした状況が続くと、知らず知らずのうちにストレスが蓄積します。
② 日照不足による気分の落ち込み
冬は日照時間が短く、気分を安定させる神経伝達物質であるセロトニンの分泌が減少しやすくなります。
その影響で、
- 気分が沈む
- やる気が出ない
- イライラしやすい
といった変化が起こりやすくなります。
③ 育児+家事+仕事の負担が重なる
年末年始や年度末に向けて、家事や仕事の負担が増える時期でもあります。
「子どもを最優先にしなければ」という思いが強い方ほど、自分の疲れを後回しにしてしまいがちです。
2. 「自分は後回し」が続くと起こりやすい不調
子どもを大切にする気持ちは尊いものですが、自分のケアを長期間後回しにすると、心と体に影響が出てきます。
心の不調
- イライラが止まらない
- 涙もろくなる
- 自分を責めてしまう
- 育児が楽しめない
身体の不調
- 強い疲労感
- 頭痛や肩こり
- 胃腸の不調
- 寝ても疲れが取れない
これらは「頑張りすぎているサイン」であり、決して怠けではありません。
3. 冬の育児ストレスをためないための考え方
① 「自分を大切にすること=子どもに悪いこと」ではない
自分をケアすることに罪悪感を抱く方も多いですが、心に余裕がある状態こそ、子どもにとっても安心できる環境です。
- 親が穏やかでいる
- 無理をしていない
それだけで、家庭の雰囲気は大きく変わります。
② 完璧を目指さない
冬は体力も気力も落ちやすい時期です。
「いつも通りできなくても仕方ない」とハードルを下げることが大切です。
4. 今日からできるセルフケア
① 1日5分でも“自分の時間”をつくる
長時間でなくても構いません。
- 温かい飲み物をゆっくり飲む
- 好きな音楽を聴く
- 深呼吸をする
短時間でも自分に意識を向ける時間は、ストレス緩和に効果があります。
② 体を温める
冬は冷えが自律神経を乱しやすいため、
- 湯船につかる
- 首・お腹・足首を冷やさない
といった基本的なケアが大切です。
③ 誰かに頼ることを選択肢に入れる
家族、パートナー、地域の支援、保育サービスなど、頼れるものは頼って構いません。
「全部自分でやらなければ」という思い込みを少し手放してみましょう。
5. 冬季うつとの関係にも注意
冬の育児ストレスが強くなる背景には、冬季うつ(季節性情動障害)が関係している場合もあります。
次のような症状が目立つ場合は注意が必要です。
- 強い眠気や過眠
- 食欲が増える
- 気分の落ち込みが続く
- 何をしても楽しくない
育児の疲れだけでは説明できない不調が続く場合は、専門的なサポートが有効です。
6. 医療機関に相談するタイミング
以下の状態が2週間以上続く場合は、心療内科や精神科への相談を検討してください。
- 気分の落ち込みやイライラが続く
- 育児がつらく感じる日が多い
- 睡眠や食欲の乱れがある
- 「消えてしまいたい」と感じることがある
早めに相談することで、生活改善のアドバイスや治療によって負担が軽くなることがあります。
まとめ
冬は、育児をしている方にとって特に負担が大きくなりやすい季節です。
「子ども優先」で頑張り続ける中で、自分の心と体の声が後回しになってしまうこともあります。
しかし、自分をいたわることは、育児放棄でも甘えでもありません。
それは、長く続く育児を乗り越えるために必要なケアです。
つらさを感じたときは、一人で抱え込まず、周囲や医療機関のサポートを活用してください。
あなたが少しでも楽になることは、家族にとっても大切なことです。
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