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【医師監修】「私だけ取り残されている気がする」主婦の孤独と向き合うには

「最近、人と会話したのはいつだっけ?」「SNSを見ると、みんな楽しそうに見えてつらい…」「誰にも必要とされていない気がする」——そんなふうに感じたことはありませんか。

主婦として家庭を守る毎日。忙しさの中で自分の気持ちを後回しにしているうちに、ふとした瞬間に「私だけが取り残されている」といった孤独感や焦燥感に襲われる方は少なくありません。

本記事では、主婦の方が抱えがちな“孤独”の正体と、その背景にある心と身体の変化について、医師の視点も交えながら解説します。誰にでも起こりうる自然な反応であることを理解しつつ、自分を守るための対処法や医療機関のサポートについてもご紹介します。

なぜ主婦は孤独を感じやすいのか

一見、家庭にいる主婦は「人に囲まれている」「孤独とは無縁」と思われがちですが、実は見えにくい孤独に苦しむケースが多くあります。以下のような背景がその要因となることがあります。

1. ライフステージの変化

子どもの進学や独立、配偶者の転勤や定年など、主婦の生活は家族の変化に大きく影響されます。とくに子育てが一段落した後の「空の巣症候群」は、目的を失ったような感覚を生み、孤独感を強めることがあります。

2. 比較のストレス

SNSやママ友同士の会話などから、他人の生活と自分の生活を比較してしまい、「自分だけが取り残されている」という錯覚に陥ることも。とくに、承認欲求が満たされにくい日常では、こうした比較が自己否定につながることがあります。

3. 感情を吐き出す場がない

家族の前では「お母さん」として明るく振る舞う必要があると感じ、自分の不安やつらさを打ち明けられないという方も多く見られます。こうした「感情の孤立」は、周囲に人がいても心の孤独感を強めます。

孤独感が続くと起こる心と体の変化

孤独を感じること自体は誰にでもある自然な感情です。しかし、それが慢性的に続くと、心と身体の両面にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

抑うつ状態や不安症状

孤独が長引くと、「自分には価値がないのでは」「このまま誰にも必要とされずに老いていくのでは」といった否定的な思考が強くなり、うつ病や不安障害につながることもあります。

自律神経の乱れ

心の不調は身体にも影響を与えます。孤独感やストレスが続くと、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、自律神経失調症のような症状(不眠、動悸、息苦しさ、胃腸の不調など)が現れることがあります。

慢性的な疲労や免疫力の低下

心の負担が続くことで、身体的な疲労感も抜けにくくなります。医学的には、慢性疲労や免疫機能の低下との関連も指摘されており、風邪をひきやすくなる・アレルギー症状が出やすくなるといった変化が見られることもあります。

主婦の孤独とどう向き合えばいい?

孤独感に悩むとき、まず大切なのは「自分が感じていることに気づき、否定しない」ことです。心のサインに耳を傾け、無理に明るくふるまったり、「こんなことで悩んではいけない」と抑え込んだりする必要はありません。

ここでは、孤独に押しつぶされそうなときにできる、いくつかの対処法をご紹介します。

1. 小さな「つながり」を見つける

孤独感は「誰にもわかってもらえない」という気持ちから生まれます。たとえ短時間でも、誰かと心を通わせる機会があるだけで、孤独の感情は大きく和らぎます。

  • 近所の方とあいさつを交わす
  • 店員さんとのちょっとした会話を楽しむ
  • オンラインコミュニティで同じ悩みをもつ人の話を読む

こうした小さなつながりの積み重ねが、心の「居場所」をつくる一歩になります。

2. 自分の気持ちを言葉にする

モヤモヤとした感情を抱えたままにしていると、頭の中で何度も繰り返し同じ思考をめぐらせ、苦しさが増してしまいます。紙に書き出したり、信頼できる相手に話したりすることで、気持ちを客観的に見つめ直すことができます。

日記やメモ、スマホのメモアプリでも構いません。「なんとなくつらい」「取り残されたような気がする」——その一言だけでも、自分の心を救うきっかけになります。

3. 自分のための時間を確保する

主婦業は24時間休みがないように感じるかもしれませんが、「自分の時間を持つ」ことは心の健康に不可欠です。

  • ゆっくりお茶を飲む時間を作る
  • 散歩に出て自然に触れる
  • 趣味を再開してみる
  • 気になる本を1冊読む

特別なことをする必要はありません。「これは自分のための時間」と意識することが、自己肯定感の回復につながります。

症状がつらいときは医療機関への相談も視野に

孤独感や抑うつ状態が続いているときには、「これは心の問題だから、自分でなんとかしないと」と思い込み、受診をためらってしまう方もいます。しかし、心と体は密接に関係しており、不調が長引くほど回復に時間がかかることもあります。

以下のような状態が2週間以上続く場合は、医療機関への相談をおすすめします。

  • 気分の落ち込みが続き、笑えない・楽しめない
  • なかなか寝つけず、熟睡感がない
  • 何をするにも疲れてしまい、意欲がわかない
  • 頭痛やめまい、動悸、胃の不快感などが続く

こうした症状は、うつ病や自律神経の乱れによるものの可能性もあります。医師が体と心の両面から状態を確認し、必要に応じた治療やサポートを行いますので、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。

まとめ

「私だけ取り残されている気がする」——そんな感情は、決してあなただけのものではありません。家庭の中で誰かを支える立場にある方ほど、自分自身の気持ちを後回しにしてしまいがちです。

孤独感や不安が続いているときには、それは心と体からの大切なサインです。小さなつながりや、自分のための時間を意識的に持つこと。そして、必要なときには医療機関のサポートを受けることも、ひとつの「前向きな選択」です。

一歩踏み出すことで、今のつらさが少しずつ軽くなるかもしれません。どうかご自身の心と体を大切にしてください。

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福永伴子

福永伴子

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院やクリニック等で精神科・心療内科医として勤務。2011年ともクリニック浜松町を開院。 医学博士、日本精神神経学会認定専門医、日本医師会認定産業医

ともクリニック浜松町について
浜松町駅・大門駅すぐの心療内科・精神科。
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