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【医師監修】CAに多い?長時間勤務と時差ボケがもたらすメンタル不調

「最近、気分が落ち込みやすい」「眠れない日が続いている」「体は疲れているのに休んでも回復しない」――。このような不調に心当たりはありませんか?特にキャビンアテンダント(CA)として働く方の中には、慢性的な疲労感やメンタルの不調を訴える方が少なくありません。
本記事では、長時間勤務や時差ボケといった職業特有の要因が、どのようにメンタルのバランスに影響を与えるのかについて、医師がわかりやすく解説します。

CAに多いメンタル不調とは?

CA(キャビンアテンダント)は華やかに見える一方で、心身に大きな負担を強いられる仕事でもあります。実際、CAとして勤務する女性の中には、以下のようなメンタルの不調を感じる人も少なくありません。

  • 朝起きるのがつらい、無気力感が続く
  • 漠然とした不安やイライラが止まらない
  • 眠りが浅く、何度も目が覚める
  • 食欲が落ちたり、逆に過食気味になる
  • 仕事への集中力が続かない
  • 急に涙が出るなど、感情のコントロールが難しい

これらの症状は、うつ状態や自律神経の乱れによるものかもしれません。特に、CAのように不規則な勤務体系と長時間の拘束が続く職種では、こうした心身の不調が起こりやすいといわれています。

長時間勤務がメンタルに与える影響

CAの勤務は、通常の労働時間に比べてはるかに長く、フライト前のブリーフィングや乗客対応、フライト後の片付け、時には遅延やトラブル対応も含まれます。その結果、連続して10時間以上勤務することも珍しくありません。
このような長時間勤務が続くと、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 疲労の蓄積:肉体的・精神的な疲れが回復しきらないまま次の業務に入る
  • 睡眠の質の低下:勤務時間に合わせて睡眠を調整するため、浅い眠りが続く
  • ホルモンバランスの乱れ:ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌過剰が続くと、気分の落ち込みや不安感を助長する

特に注意したいのは、疲れているのに眠れない・休んでも回復しないという状態が慢性化すると、「バーンアウト(燃え尽き症候群)」やうつ状態に陥る可能性があることです。

ダミー画像

時差ボケによる「体内リズム」の乱れ

国際線を担当するCAにとって避けられないのが時差ボケ(ジェットラグ)です。短時間の間に大きくタイムゾーンが変わることで、体内時計がズレ、日中に眠気が強くなったり、夜に眠れなくなったりする現象です。
時差ボケが慢性化すると、以下のような症状が出てくることがあります。

  • 睡眠障害(入眠困難・早朝覚醒など)
  • 食欲の変動(食べすぎ・食べられない)
  • 情緒不安定(涙もろさ・怒りっぽさ)
  • 慢性的な疲労感・集中力の低下

こうした状態は、自律神経のバランスを崩し、うつ症状や不安障害につながることもあります。特に、フライトのたびにタイムゾーンが変わる業務スタイルでは、体が本来持っているリズムを維持するのが難しくなり、メンタル面の負担も大きくなります。

時差ボケのイメージ

メンタル不調への対処法

CAの仕事は職業柄、どうしても不規則な生活やストレスが避けられない部分があります。しかし、日々の工夫や心身のケアによって、メンタル不調を予防・軽減することは可能です。以下に、医師が推奨するいくつかの対処法をご紹介します。

1. 睡眠リズムを整える習慣を持つ

  • フライトスケジュールにかかわらず、1日1回はしっかりと深い睡眠をとる時間を確保することが大切です。
  • 就寝前はスマートフォンや強い光を避け、リラックスできる環境を整えることで、入眠がスムーズになります。

2. 食事と水分補給を意識する

  • 忙しい業務中でも、バランスの取れた食事と適切な水分補給は体調維持に欠かせません。
  • 時差によって食欲が乱れがちですが、できるだけ決まった時間に軽めの食事をとることで、体内リズムが整いやすくなります。

3. 小さな「リセットタイム」を持つ

  • 空港やホテルでの滞在時間に、短時間でも自分のための休息やリフレッシュを意識的に取ることがメンタルケアになります。
  • ストレッチや深呼吸、軽い散歩、入浴など、自分なりの「リセット習慣」を見つけておきましょう。

4. 信頼できる人と気持ちを共有する

  • 一人で抱え込まず、同僚や家族、友人と気持ちを言葉にすることで、気分が軽くなることがあります。
  • 社内の相談窓口やカウンセリング制度を利用するのも一つの方法です。

気持ちの共有のイメージ

受診の目安とは?「休んでも治らない」なら早めの相談を

次のような状態が2週間以上続く場合は、医療機関に相談するタイミングかもしれません。

  • 明らかに気分が落ち込んでいる
  • 食欲や睡眠に大きな変化がある
  • 仕事や生活に支障が出ている
  • 楽しめていたことに関心が持てない
  • 漠然とした不安や焦りに押しつぶされそうになる

これらの症状が当てはまる場合、自律神経の乱れやうつ病、適応障害などが背景にある可能性があります。
「自分の努力が足りないから」「仕事のせいだから仕方ない」と無理に受け入れず、体と心の不調は“医療の対象”であることを思い出してください。
医師による診察を通じて、症状に合った治療やサポートが受けられることがあります。

まとめ

CAという仕事は、多くの人に感謝されるやりがいのある職業である一方で、心身への負担も大きく、メンタルの不調を抱えやすい環境でもあります。
長時間勤務や時差ボケ、不規則な生活習慣が続くことで、自律神経のバランスや心の安定に影響が出ることもあるのです。
大切なのは、「つらい」と感じたときに、気のせいと片づけず、自分の体と心の声に耳を傾けることです。日々のセルフケアに加え、必要に応じて医療機関に相談することで、より健やかな毎日を取り戻すことができるかもしれません。
無理を重ねる前に、まずは専門の医師に一度相談してみてください。

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福永伴子

福永伴子

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院やクリニック等で精神科・心療内科医として勤務。2011年ともクリニック浜松町を開院。 医学博士、日本精神神経学会認定専門医、日本医師会認定産業医

ともクリニック浜松町について
浜松町駅・大門駅すぐの心療内科・精神科。
当院では、女性医師があなたの心に寄り添い、お一人おひとりの状態に合わせた丁寧な診察を行っています。うつ病や不眠、PMSや更年期の悩み、自律神経失調症状など、メンタルヘルス不調でお困りでしたら、安心してご相談ください。

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  • 休診日:木曜・日祝・最終週の水曜午後
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