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【医師監修】年末進行でドキドキ・めまいが増える?隠れた自律神経失調症に注意

12月が近づくと、「なんとなく息苦しい」「急にめまいがする」「心臓がドキドキして落ち着かない」そんな不調を訴える方も増えます。

年末は仕事もプライベートも予定が詰まりやすく、多くの人が知らず知らずのうちに心身へ大きな負担をかけています。こうした症状の背景には、過度のストレスが原因となる自律神経失調症が隠れている可能性があります。
本記事では、年末特有のストレスと自律神経の関係、症状が現れやすい人の特徴、そして今日からできる対策までを、医師がわかりやすく解説します。

1. 年末に体調を崩す人が増える理由

理由①:仕事の“年末進行”で交感神経が過度に優位になる

年末は、多くの会社で以下のような「締め切り」が重なる時期です。

  • 追い込みのプロジェクト
  • 年末の決算処理
  • 早めの納品スケジュール
  • 取引先や社内の調整業務
  • 忘年会や行事による拘束時間の増加

プレッシャーや慌ただしさが続くと、体は「緊張モード」である交感神経が過度に優位になります。
これが続くと、脳も体も休まらず、心拍数の上昇、浅い呼吸、めまい、頭痛などが出やすくなります。

理由②:寒さと日照不足で自律神経の調整が乱れやすい

冬は以下の理由で自律神経が乱れやすい季節でもあります。

  • 朝起きるのがつらい
  • 体温が上がりにくい
  • 日照時間の減少でセロトニン分泌が低下
  • 寒暖差で血管が収縮しやすい

これらが重なり、「疲れが抜けにくい」「気分が落ち込む」「めまいが増える」といった症状が起きやすくなります。

理由③:プライベートでも忙しさが続く

仕事だけでなく、年末は家庭や社会的なイベントも増えます。

  • 家事・育児に加えて大掃除
  • 帰省の準備
  • 子どもの学校行事
  • 年賀状、買い物、年越しの準備

身体が休まらず、交感神経が刺激され続けることで、さらに自律神経失調のリスクが上がります。

2. 年末に増える“隠れ自律神経失調症”とは

自律神経失調症とは、身体のリズムを整える自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが崩れ、心身に不調が出る状態を指します。
年末は、特に「隠れタイプ」の自律神経失調症が増える傾向にあります。

隠れ自律神経失調症の主な症状

身体症状

  • 動悸、胸のドキドキ
  • 息苦しさ、深呼吸がうまくできない
  • めまい、ふらつき
  • 手足の冷え
  • 頭痛、肩こり
  • 胃のムカつき、食欲不振

心の症状

  • 不安感が強くなる
  • 集中できない
  • すぐ疲れる、やる気が出ない
  • イライラが増える

これらが「疲れているだけ」「寝不足のせい」と見過ごされやすいのが、隠れ自律神経失調症の特徴です。
特に年末は忙しさをごまかしながら動けてしまうため、悪化しやすい点に注意が必要です。

3. 自律神経が乱れやすい人の特徴

年末のストレスで不調が出やすい人には、共通する傾向があります。

① 責任感が強く、頑張りすぎてしまう人

真面目で「やると決めたらやる」タイプの人ほど、無理をしてしまう傾向があります。

  • 頼まれたら断れない
  • 仕上がりにこだわりが強い
  • 人に迷惑をかけたくない

こうした性格傾向は、ストレスの蓄積につながります。

② 睡眠リズムが乱れやすい人

夜型の生活や、仕事の忙しさで睡眠時間が不規則になる人は、特に注意が必要です。

寝不足が続くと、副交感神経がうまく働かず、体が常に緊張モードになります。

③ 過去に不安症やパニック症状を経験したことがある人

一度自律神経が乱れた経験がある人は、年末のストレスで再発しやすくなります。

④ 気圧や天候の変化に敏感な人

低気圧で頭痛やめまいが起きやすい人は、自律神経の反応が敏感な傾向があります。

⑤ 更年期の女性

40〜50代の女性は、ホルモン変化によって自律神経が乱れやすく、年末の疲れが症状の悪化につながるケースも多く見られます。

4. 年末のドキドキ・めまいを放置してはいけない理由

「忙しい時期だから仕方ない」
「年が明ければ落ち着くだろう」
と、様子を見てしまう方が多いのですが、実はこれは危険です。

放置することで、

  • 強い不安感
  • パニック発作
  • 朝起きられない
  • 仕事に行けなくなる
  • 食欲低下や過食
  • 不眠や過眠

といった状態に進むことがあります。

特に、“動悸・めまい・息苦しさ”は、体が限界を訴えている重要なサイン。
年末は心身のSOSに気づきづらいため、自覚したときには症状が進んでいるケースも少なくありません。

5. 今日からできる!自律神経を整えるセルフケア

年末の忙しい時期でも、少しの工夫で自律神経の乱れを和らげることができます。
ここでは、効果の高いセルフケア方法をご紹介します。

① 深呼吸・腹式呼吸を意識的に行う

もっとも手軽で効果の高い方法が呼吸を整えることです。
焦りや緊張で浅い呼吸になると、交感神経がさらに優位になってしまいます。

おすすめの呼吸法:4-6呼吸

  1. 4秒かけて鼻から吸う
  2. 6秒かけて口からゆっくり吐く
  3. これを5回くり返す

わずか1分でも副交感神経が働き、体がリラックス状態に切り替わります。

② 意識的に“休む”時間をつくる

年末はどうしても「動き続けてしまう」時期ですが、あえて立ち止まる時間が必要です。

  • 5分だけ座って目を閉じる
  • 温かい飲み物をゆっくり飲む
  • ストレッチで体をほぐす

これだけでも緊張状態から体を戻しやすくなります。

③ 光を浴びて体内時計を整える

冬は日照時間が短く、セロトニンが減りやすいため、短時間でも外に出ることが重要です。

  • 朝5〜10分、外を歩く
  • 休憩中に窓際で光を浴びる
  • 曇りの日でも外の光は十分に効果あり

体内時計が整い、気分の落ち込み・疲労感の軽減につながります。

④ 寒さ対策で血流を改善

寒暖差は自律神経を大きく乱します。

  • 首・手首・足首を温める
  • 湯船に10〜15分つかる
  • カイロや電気毛布を活用

血行がよくなると、頭痛・めまい・倦怠感も緩和されやすくなります。

⑤ 食事の偏りを防ぐ

忙しい時期こそ、エネルギー不足は心の不調につながります。
おすすめの栄養素は、

  • ビタミンB群(疲労軽減)
  • マグネシウム(自律神経を安定)
  • トリプトファン(セロトニンの材料)

コンビニでも、ゆで卵・納豆・ナッツ・バナナなどで補えます。

6. 年末こそ意識したい生活習慣の見直し

① 睡眠の質を優先する

年末は睡眠不足になりがちですが、不調を悪化させる最大の要因です。

  • 就寝1時間前はスマホを見ない
  • カフェインは午後は控える
  • 寝る前にストレッチ

無理に早く寝るより、「寝る準備」を丁寧に行うことが大切です。

② 予定を詰め込みすぎない

「みんな忙しいから」「年末は仕方ない」と、自分のキャパを超えて予定を入れやすい時期です。

  • “やらないことリスト”を作る
  • 優先度の低い予定は1月に回す
  • 負担の大きい仕事は分担を相談

“やらなくてもいいこと”を明確にすることで、心の余裕が戻りやすくなります。

③ 1日1つ、“自分のための時間”を確保する

年末は他人のために動く時間が増えるため、自分のケアが後回しになりがちです。

  • 好きな音楽を聞く
  • ほんの少し散歩する
  • 美味しいものをゆっくり味わう

「回復するための時間」を意識的に作りましょう。

7. 医療機関を受診すべきタイミング

次のような状態が続く場合は、自己判断せず医療機関へ相談することをおすすめします。

  • 動悸や息苦しさが頻繁に起こる
  • めまいで立っていられない時がある
  • 朝起きられず、仕事に行けない
  • 気持ちの落ち込みが強い
  • 夜眠れない日が増えている
  • 不安感が日常生活に支障をきたしている

特に、
「発作のような強い動悸・息苦しさ」
が起こる場合、パニック発作などの可能性もあり、早めの受診が重要です。

8. 心療内科でできるサポート

当院のような心療内科では、年末に増える自律神経の不調に対して、以下のような治療を行います。

① 丁寧な問診で原因を分析

ストレスの原因、生活習慣、心の状態を細かく伺い、何が不調を引き起こしているのか整理します。

② 必要に応じた薬物療法

  • 睡眠の質を改善する薬
  • 不安症状を和らげる薬
  • 自律神経の乱れを整える薬

授乳中や持病のある方にも配慮しながら、個々に合わせた治療を行います。

③ カウンセリング・認知行動療法

ストレスとの付き合い方、思考のクセ、仕事の抱え方などを整理し、症状悪化を防ぐサポートを行います。

9. まとめ:年末こそ“自分のペース”を大切に

年末は、自律神経が乱れやすい条件がいくつも重なる時期です。
「忙しいから仕方ない」と我慢を続けると、動悸・めまい・不安感などが悪化し、年明けの不調にもつながります。

  • 深呼吸や光を浴びるなど、小さなケアを続ける
  • 予定を詰め込みすぎない
  • 休むことも仕事の一部と考える
  • 不調が続く場合は早めに医療機関へ相談する

これらが、年末の心と体を守るための大切なポイントです。
つらさを一人で抱え込まず、必要に応じて医療機関を頼ることが、スムーズに年末を乗り切るための力になります。

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福永伴子

福永伴子

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院やクリニック等で精神科・心療内科医として勤務。2011年ともクリニック浜松町を開院。 医学博士、日本精神神経学会認定専門医、日本医師会認定産業医

ともクリニック浜松町について
浜松町駅・大門駅すぐの心療内科・精神科。
当院では、女性医師があなたの心に寄り添い、お一人おひとりの状態に合わせた丁寧な診察を行っています。うつ病や不眠、PMSや更年期の悩み、自律神経失調症状など、メンタルヘルス不調でお困りでしたら、安心してご相談ください。

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