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ストレスと心の健康

【医師監修】メンタル不調で休職する前に知っておきたい10のこと

「最近、気持ちがついていかない」「仕事に行くのがつらい」──そんな日々が続いていませんか?

メンタルの不調は、見えにくくても確実に心と身体をむしばみます。「休職」という選択肢が頭をよぎっても、「自分が休むほどのことなのか」とためらってしまう人も多いのではないでしょうか。

この記事では、メンタルの不調で休職を考え始めたときに知っておきたい10のことを、医療・制度・職場対応など多角的な視点から解説します。

ひとりで抱え込まず、少しでも「つらい」と感じたあなたが、自分自身を守るためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

1. 「なんだかつらい」は休職理由になる?

– 症状が軽く見えても無視しないで

「休職なんて大げさじゃないか」と思いながら、毎朝出社するのがつらくなっていませんか?

メンタル不調は、最初は「なんとなく元気が出ない」「以前のようにやる気が出ない」といった曖昧なサインから始まることが少なくありません。

体調で言えば、風邪の引き始めのような状態。ここで無理を重ねると、やがて心の不調が深刻化してしまいます。

症状が重くないうちに対処できることは、実はとても大切なことです。医療機関でも、診断書による休職は「予防的休養」として早めにすすめられることがあります。

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– 症状が軽く見えても無視しないで

「本当に動けなくなった人だけが休職するもの」と思われがちですが、それは誤解です。

むしろ、休職は“重症化させないための手段”として利用することもできます。

仕事への責任感が強い人ほど、自分のつらさにブレーキをかけるのが遅れがちです。でも、回復には「まず休む」ことが必要です。

重くなる前に、まず「休職も選択肢のひとつ」と考えてみてください。

2. どこからが“休職を考えるライン”なのか

– 日常生活に支障が出ているサイン

以下のようなことが続いているなら、心と体が悲鳴をあげているかもしれません:

  • 朝、起き上がるのがつらい・会社に行く準備ができない
  • 食欲がない、眠れない、常に疲れている
  • ミスが増えたり、仕事の段取りができなくなってきた
  • 好きだったことに興味がわかない

これらは「サボりたい」気持ちではなく、メンタル不調のサインです。こうした状態が2週間以上続いている場合は、医師への相談と休養の検討が必要です。

– 気持ちの限界を見逃さないために

「頑張ればなんとかなる」と思っていても、限界を超えると心も体も一気に崩れてしまうことがあります。

特に真面目で責任感のある人は、「自分が休んだら迷惑がかかる」と考えてしまいがちですが、まずは自分の健康を守ることが第一です。

気づいたときが、立ち止まるタイミング。小さな違和感でも、見逃さないようにしてあげてください。

“休職は甘え”ではなく、“休職は回復の一歩”です。

3. 心療内科・精神科を受診すべきタイミング

– まずは医師に相談する理由

「休みたいけれど、どこに相談したらいいのかわからない」と悩んでいる方も多いかもしれません。そんなときは、心療内科や精神科を受診することが最初の一歩になります。

メンタルの不調は、自分で状態を判断するのが難しいものです。「このくらいなら大丈夫」と思っていたら、実はうつ病の初期症状だったということも少なくありません。

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医師に相談することで、今の心身の状態を客観的に確認でき、必要な治療や休養について専門的なアドバイスが受けられます。

– 診断書が必要なケースとは?

もし休職を考えている場合、職場に提出する診断書が必要になることがほとんどです。

医師があなたの状態を診断し、「就労が困難な状態である」ことを証明する書類が、休職を正式に進める上で重要な役割を果たします。

「休むことに後ろめたさがある」と感じていても、診断書があることで職場への説明がスムーズになり、自分の気持ちにも“安心して休んでいい”という根拠が生まれます。

4. 休職と診断書の基本知識

– 診断書は誰が、どうやって書く?

診断書は、医療機関を受診し、医師が診察したうえで発行します。
基本的には、症状や就労の可否などを見て判断されるため、一度の診察でその場で書いてもらえるケースもあれば、経過観察が必要なこともあります。
精神科・心療内科であれば、メンタル不調に特化した診断と診断書の作成に慣れているので、安心して相談できます。

– どんな内容が記載される?

診断書には、次のような内容が一般的に記載されます:

  • 病名(例:うつ病、適応障害 など)
  • 現在の症状や状態
  • 「○月○日から○月○日までの間、休職を要する」などの就労可否
  • 医師名と医療機関名

なお、詳細な症状やプライベートな内容まで書かれることはほとんどなく、職場に出す前提で最低限の情報にとどまるのが一般的です。
また、傷病手当金の申請などで診断書のコピーや別書式が必要になることもありますので、受診時に相談しておくとスムーズです。

診断書イメージ

5. 「会社にどう伝えるか」が不安なとき

– 直属の上司への伝え方

休職を考えていても、「どう切り出せばいいのかわからない」と感じている方は多いはずです。
まずは、信頼できる直属の上司に、体調が優れないことを正直に伝えることから始めましょう。
伝える際のポイントは、「診断を受けたこと」や「医師から休職が必要と言われた」など、客観的な事実をベースに話すことです。

たとえば次のように切り出すとスムーズです:
「最近体調がすぐれず心療内科を受診したところ、一定期間の休養が必要との診断を受けました。診断書もいただいておりますので、休職についてご相談させてください。」

感情的にならず、淡々と伝えることで、上司も冷静に対応しやすくなります。

– 人事や産業医との関係づくり

会社によっては、休職の手続きや今後の対応について、人事部門や産業医が関与するケースがあります。
このときも、「心身の不調があるため、医師の指示で一定期間の休養が必要」と説明すれば大丈夫です。

産業医が社内にいる場合、復職に向けての相談役になることもあります。無理に話し込まず、必要な情報を共有することが大切です。

あなたの体調が第一です。自分の状態を守ることを最優先に、誠実に伝える姿勢を持ちましょう。

会社への伝え方イメージ

6. 休職中の生活ってどうなるの?

– 毎日どう過ごせばいい?

いざ休職してみると、「何をして過ごせばいいの?」と戸惑う方も少なくありません。
基本的には“休むことが仕事”という気持ちで、無理に何かをしようとせず、まずは生活リズムを整えることを意識してください。

ポイントは以下の通りです:

  • 朝は同じ時間に起きる
  • 短時間でも陽の光を浴びる
  • 食事はなるべく規則的にとる
  • 体調に合わせて、少しずつ散歩や軽い運動を取り入れる

スマホやSNS、ネガティブな情報に触れすぎるのは心の負担になることもあるため、情報から少し離れる時間を意識することも効果的です。

– 焦らず回復するための心構え

「早く治さなきゃ」「職場に迷惑をかけている」と焦る気持ちは自然なことですが、焦りは回復の妨げになります。

回復には波があります。よくなったと思っても急に不調になることもあり、それは決して「甘え」ではありません。

自分を責めるのではなく、「今は回復に専念する時間」と考えて、自分に優しく、少しずつ歩みを進めることが大切です。

休職中の生活イメージ

7. 傷病手当金とは?金銭面の支援制度

– 社会保険からの給付について

休職に踏み切れない理由として多いのが「収入がなくなるのが心配」という声です。
そんなときに活用できるのが、「傷病手当金」という社会保険の制度です。
これは、会社の健康保険に加入している人が、病気やケガで働けなくなったときに支給される生活保障です。
支給される金額は、おおよそ給与の約2/3程度で、最長で1年6ヶ月まで受け取ることができます(一定の条件あり)。
心の病気も対象ですので、診断書があれば、うつ病や適応障害などの理由でも申請できます。

– 手続きの流れと必要な書類

申請には以下のような書類が必要です:

  • 健康保険傷病手当金支給申請書(会社や健康保険組合から入手)
  • 主治医の意見書(医師に記入してもらう)
  • 事業主の証明書(会社に記入してもらう)
  • 本人の記入欄

申請は月ごとに行うのが一般的で、提出から振込までは少し時間がかかることもあります。
会社の人事担当や健保組合に相談すれば、手続きのサポートを受けられることが多いので、不安な場合は早めに確認しておきましょう。

8. 「戻る場所があるのか不安」な気持ちへの向き合い方

– 復職のプロセスとリワーク支援

休職中、「このまま会社に戻れるのか」「居場所は残っているのか」と不安に感じることもあると思います。
しかし、多くの企業では復職をサポートする仕組みがあります。たとえば:

  • 復職前面談:主治医や産業医、人事との面談で現状を共有
  • 試し出勤(リハビリ出勤):段階的に仕事に戻る方法
  • リワークプログラム:専門機関で復職準備をする支援(一部医療機関や支援センターが提供)

復職は、あなたの回復ペースに合わせて進めるものです。無理に「元どおり」になる必要はありません。自分に合った方法で少しずつ慣れていくことが大切です。

– 不安を減らすステップとは?

不安が強いときには、次のようなステップで心の負担を減らしていきましょう:

  • 不安な気持ちを紙に書き出す
  • 小さなことから「できること」に目を向ける
  • 周囲とこまめにコミュニケーションをとる
  • 必要に応じてカウンセリングや復職支援機関に相談する

「戻ること」がゴールではなく、無理せず、自分らしく働ける形をつくることがゴールです。
職場や専門家と連携しながら、安心して再スタートできる準備を進めましょう。

9. 周囲にどう話すか、話さないか

– 同僚や友人への対応例

メンタルの不調や休職について、どこまで誰に話すかは悩ましい問題です。
正解は一つではありませんが、大切なのは「あなたが安心して過ごせること」。
同僚や友人に伝えるときは、無理に詳しく話す必要はありません。たとえば:

  • 「体調を崩してしばらく休んでいます」
  • 「少し心の調子を崩して、今は回復に専念しています」

といった、簡潔で負担の少ない表現でも十分です。親しい人には、少し踏み込んで「気分の落ち込みが続いて…」と伝えるのもよいでしょう。
相手によって距離感を調整しながら、あなたの気持ちを最優先にしてください。

– プライバシーを守る工夫

一方で、職場でのプライバシー保護も重要です。会社の上司や人事とは、必要最低限の情報だけ共有し、詳細は医師の診断書に委ねることも可能です。
また、心療内科や精神科への通院が知られることに不安がある場合は、

  • 会社の産業医に相談
  • 医療機関の個人情報保護について事前確認

といった工夫で、安心して治療に専念できる環境を整えましょう。

10. “休む”ことは立派な自己防衛です

– 早く休めば早く回復できる

つい「もっと頑張らなきゃ」「ここで休んだら迷惑がかかる」と、自分を追い詰めてしまいがちです。
でも、本当はその逆です。
心の不調は“がんばってる証拠”
そして、“今休む”ことで、長引かせずに済む未来を選ぶことができます。
体も心も、回復には時間とエネルギーが必要です。
無理をして悪化させてしまう前に、「今、休む」という選択は何よりも大切な自己防衛になります。

– 自分を責めず、まず一歩を

「自分は甘えているのでは?」
「もっと大変な人がいるのに…」
そんなふうに、自分を責めてしまう人ほど、真面目で優しい人です。
でも、心が悲鳴をあげている今は、自分を責めるのではなく、守ることにエネルギーを使ってください
ひとまず医療機関に相談する、誰かに気持ちを話してみる――
それが、「一歩前に進む」という大切なアクションです。
“休む”ことは、立派な行動。
あなたの未来のために、安心してその一歩を踏み出してください。

11.まとめ

メンタル不調は、誰にでも起こりうるものです。
ですが、見た目にわかりにくいために、「まだ頑張れる」「迷惑をかけたくない」と無理を重ねてしまう人が少なくありません。
今、あなたが「もしかして自分も?」と感じているなら、それは自分の心の声に耳を傾ける大事なサインです。
休職は決して逃げではありません。しっかり立ち止まり、回復するための前向きな選択です。
自分を守るために「休む」という決断が、きっとこれからの人生にとっても、かけがえのない力になります。
焦らず、でも放置せず。
必要なときに、必要なケアを。
「つらい」と感じたら、その声に耳を傾けるところから始めてみましょう。

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福永伴子

福永伴子

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院やクリニック等で精神科・心療内科医として勤務。2011年ともクリニック浜松町を開院。 医学博士、日本精神神経学会認定専門医、日本医師会認定産業医

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浜松町駅・大門駅すぐの心療内科・精神科。
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