働き方の多様化が進む中、フリーランスとして働く方が増えています。自由な時間、柔軟な働き方、やりがいのある仕事——フリーランスには多くの魅力があります。一方で、「なんとなく気分が沈みがち」「不安で眠れない」「集中力が続かない」といった、心の不調を感じる方も少なくありません。
本記事では、フリーランスの方に多くみられるメンタルヘルスの問題や、その背景や特徴、対策について詳しく解説します。
フリーランスに特有のストレスとは?
フリーランスは自分の裁量で働ける反面、いくつかの精神的負担を抱えやすい側面があります。たとえば、次のような点がストレス要因として挙げられます。
収入の不安定さ
毎月の収入が一定でないことにより、将来への不安が強まりやすくなります。
社会的孤立
同僚がいない、誰にも相談できないといった「孤独感」が、心のバランスを崩す要因になります。
過重労働と自己管理の難しさ
業務量のコントロールが難しく、休むタイミングが取れずに無理を重ねてしまうケースもあります。
こうしたストレスが積み重なることで、うつ病や不安障害、自律神経失調症などのメンタルヘルス不調につながることがあります。
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主なメンタルヘルスのサイン
以下のような症状が続いている場合は、心の健康が損なわれている可能性があります。
- 気分の落ち込みが2週間以上続く
- 朝起きるのがつらく、日常の作業に取りかかれない
- 食欲の低下または過食
- 不眠や過眠(寝ても疲れが取れない)
- 人と会うのが億劫、外に出たくない
- 漠然とした不安や焦りが強い
- 集中力が続かず、仕事のミスが増える
これらの症状は「気のせい」や「気合い」で解決できるものではなく、身体の病気と同じように、適切な対応が必要な心のサインです。
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対策のポイント:日常でできるセルフケア
まずは生活習慣を見直し、心と体の土台を整えることが大切です。
1.生活リズムを整える
起床・就寝・食事の時間をなるべく一定に保ちましょう。体内時計の乱れは自律神経に影響し、心の不調を招きやすくなります。
2.適度な運動を取り入れる
ウォーキングやストレッチなど、軽めの運動でも効果的です。脳内のセロトニン(気分を安定させる神経伝達物質)が活性化されます。
3.人とのつながりを意識する
オンラインでも構いません。同業者や友人と会話する機会をつくることで、孤独感が和らぎます。
4.仕事と休息のバランスを取る
休みを「罪悪感なく取る」ことも大切です。自分に合った働き方のリズムを模索しましょう。
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医療機関の受診をためらわないで
セルフケアだけでは改善が難しい、あるいは心身の不調が強く生活に支障をきたしている場合は、早めに医療機関への相談をおすすめします。
たとえば「うつ病」や「適応障害」といった疾患は、脳の機能的な変化によって起こる病気であり、薬物療法や精神療法(カウンセリング)などの適切な治療で改善が期待できます。
また、最近では「メンタルクリニック」や「心療内科」など、心の不調に専門的に対応する医療機関も増えています。これらへの受診は決して「特別なこと」ではありません。風邪をひいたときに病院で診てもらうのと同じように、気になる症状があれば気軽に相談してください。
まとめ
フリーランスという働き方は自由であると同時に、自分自身を大切に扱うことが求められる働き方でもあります。 不調のサインを見逃さず、日々のセルフケアや適切な医療の力を借りながら、自分らしく働ける環境を整えていきましょう。
「なんとなくおかしい」と感じたその時こそ、心の健康を見つめ直すチャンスです。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
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