「なんとなく体調がすぐれない」「病院では異常がないと言われたのに、つらさは続いている」
そんな経験はありませんか?
もしかするとその不調、自律神経の乱れが関係しているかもしれません。
自律神経失調症とは、身体と心のバランスを保つ“自律神経”の働きが乱れることで、さまざまな不調が現れる状態をいいます。
本記事では、自律神経失調症になりやすい人の特徴や原因、そして受診の目安について、心療内科・精神科の視点からわかりやすくご紹介します。
自律神経失調症とは?
まず「自律神経」とは、私たちの意思とは無関係に、体の機能を24時間コントロールしてくれている神経です。
主に「交感神経(活動モード)」と「副交感神経(リラックスモード)」の2つがあり、状況に応じてバランスよく切り替わることで、健康が保たれています。
しかし、このバランスが崩れると、次のような不調が現れることがあります:
- 慢性的な疲労感、だるさ
- 動悸、息切れ、胸の苦しさ
- めまい、耳鳴り
- 頭痛、肩こり
- 胃腸の不調(食欲不振、便秘、下痢など)
- 寝つきの悪さ、途中で目が覚める
- 不安感、イライラ、落ち込み
こうした症状が複数あり、明確な身体疾患が見つからない場合、「自律神経失調症」の可能性があります。
自律神経失調症になりやすい人の特徴
自律神経の乱れは、誰にでも起こりうるものですが、特に次のような傾向がある方は注意が必要です。
1. 真面目で責任感が強い
責任感が強く、「人に迷惑をかけたくない」「きちんとやらなければ」と頑張りすぎてしまうタイプの方は、自律神経が常に緊張状態にさらされやすく、バランスを崩しやすい傾向があります。
2. ストレスを抱えやすく、発散が苦手
人間関係、家庭、職場のストレスを感じやすいにもかかわらず、それを外に出せず抱え込みやすい方は要注意です。ストレスは自律神経を乱す大きな要因です。
3. 生活リズムが不規則
睡眠時間が不規則だったり、食事の時間がまちまちだったりすると、自律神経のリズムも乱れがちになります。特に夜更かしや寝不足が続くと、回復力が落ちてしまいます。
4. 環境の変化が多い
引っ越し、転職、介護、育児など、生活環境の大きな変化が続くと、心身ともにストレスがかかり、自律神経の調整が難しくなることがあります。
5. 更年期の女性
女性ホルモン(エストロゲン)は自律神経の働きにも影響を与えます。更年期にはホルモンバランスの変化により、自律神経の乱れから不調を感じやすくなります。
「病気じゃないけどつらい」状態は、無理に我慢しないで
「検査で異常はないと言われたから、大したことない」
「みんな忙しいし、自分だけが弱いのかも」
そう思って、つらさをひとりで抱え込んでしまう方は少なくありません。
しかし、自律神経の不調は、決して「気のせい」や「我慢で解決できるもの」ではありません。
そのまま放っておくと、うつ病や不安障害など、心の病気につながることもあります。
早めに相談することで、症状の悪化を防ぐだけでなく、「自分の状態を正しく理解できる」という安心感も得られます。
どの科に行けばいいの?――心療内科の役割
体の症状があるのに検査で異常がない。
でも、心の問題と言われても、どこに行けばいいのかわからない――
そんなときこそ、「心療内科」が力になれるかもしれません。
心療内科では、体に出る症状と心の状態を一緒に見ながら、原因を探っていきます。
必要に応じて、薬物療法やカウンセリングなどを組み合わせて治療を行うこともあります。
当院では、女性医師が丁寧にお話をうかがいながら診察を進めていきます。
デリケートなお悩みでも、安心してご相談いただけます。
まとめ
自律神経失調症は、日常生活の中で少しずつ蓄積されたストレスや生活リズムの乱れ、ホルモンバランスの変化などが影響し、心と体の両方に不調をもたらすことがあります。
特に、真面目で頑張り屋の方ほど、自分のつらさを後回しにしてしまいがちです。
「これくらい大丈夫」「きっとそのうち良くなる」と思っていても、不調が続くと日常生活に支障をきたすこともあります。
検査で異常が見つからない場合でも、体のつらさにきちんと向き合うことはとても大切です。
もし今、「なんとなく不調が続いている」「心と体のバランスがうまく取れていない気がする」と感じているようでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。
受診を決めることは、けっして大げさなことではなく、自分を大切にするための自然な一歩です。私たちは、あなたのペースに寄り添いながら、安心してお話しいただける環境を整えています。
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