「なんとなく調子が悪い」「原因はわからないけれど、ずっと疲れている」「眠れない、息苦しい、めまいがする」――。
このような不調が続くと、「もしかして自律神経が乱れているのかも」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、自律神経の働きや乱れが起こる原因について、医療機関の視点からわかりやすくご紹介します。
ご自身の体調と向き合い、適切な対処を考えるきっかけとして、ぜひご参考になさってください。
自律神経とは? 体のバランスを整える“司令塔”
自律神経とは、私たちの意思とは関係なく、体のさまざまな機能を自動的に調整してくれている神経のことです。たとえば、心臓の鼓動や呼吸、体温調整、消化、発汗など——私たちが意識せずに行っている体の働きの多くが、この自律神経によってコントロールされています。
自律神経には主に次の2つの種類があります。
- 交感神経:主に日中、活動時に働き、心身を“アクセル”のように活性化させます。
- 副交感神経:主に夜間やリラックスしているときに働き、体を“ブレーキ”のように休ませる役割を担います。
この交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで、心と体の健康が保たれているのです。
自律神経が「乱れる」とは?
「自律神経の乱れ」とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、どちらかが過剰に働いていたり、うまく切り替えができなくなったりしている状態を指します。
たとえば、
常に交感神経が優位になっていてリラックスできない
副交感神経の働きが弱く、休んでも疲れが取れない
神経の切り替えがスムーズにできず、体が混乱している
といった状態が続くと、様々な不調があらわれてくるのです。
自律神経が乱れる原因は?
自律神経のバランスは非常に繊細で、日常生活のちょっとした変化やストレスの積み重ねによって簡単に影響を受けます。ここでは主な原因をご紹介します。
1. ストレス
精神的なストレス(仕事や人間関係、家庭の問題など)は自律神経に強く影響します。緊張状態が続くと交感神経ばかりが働き、副交感神経とのバランスが崩れてしまいます。
2. 睡眠不足・生活リズムの乱れ
夜更かしや不規則な生活は、自律神経の“時計”を狂わせます。本来夜になると副交感神経が優位になり、体を休めるはずですが、遅くまでスマホを見ていたり、夜勤が多かったりすると、このリズムが崩れてしまいます。
3. ホルモンバランスの変化
特に更年期の女性に多く見られるのが、女性ホルモン(エストロゲン)の減少による自律神経の不調です。エストロゲンは自律神経の働きをサポートしており、これが急激に減ることでバランスを崩しやすくなります。
4. 環境の変化(季節・気圧など)
春や秋など季節の変わり目、急激な気温差、気圧の変化なども自律神経に影響します。体が外部の変化に対応しきれず、バランスを崩してしまうのです。
5. 病気や薬の影響
甲状腺の病気やうつ病、糖尿病、あるいは一部の薬の副作用としても自律神経の乱れが見られることがあります。背景に何らかの病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。
どんな症状があらわれる? 自律神経失調症のサイン
自律神経が乱れると、心身に様々な不調が現れます。代表的なものは以下のとおりです。
- 倦怠感、疲労感が抜けない
- 動悸、息切れ、胸の圧迫感
- 頭痛、めまい、耳鳴り
- 胃腸の不調(下痢・便秘・吐き気)
- 不眠や寝つきの悪さ
- 手足のしびれや冷え
- イライラや不安感、落ち込み
こうした症状は一見するとバラバラに見えますが、原因が自律神経の乱れにあるケースも少なくありません。
自律神経の乱れにどう向き合う? 医療機関の受診も選択肢に
「ただのストレスかも」「年齢のせいかな」と思ってそのままにしてしまう方も多いですが、自律神経の不調は早めの対処が大切です。
まずは生活習慣の見直しを試みることも一つの方法ですが、症状が続く場合や生活に支障が出ている場合は、医療機関の受診を検討してみてください。特に精神的な症状を解決したい場合は一度心療内科にご相談ください。自律神経のバランスを整えるための適切なアドバイスや治療を受けることができます。
まとめ
自律神経の乱れは、誰にでも起こり得る、身近な体と心の不調です。
その原因は一つに限らず、ストレスや生活習慣、加齢にともなう変化など、さまざまな要因が重なって生じます。
「なんとなく不調が続いているけれど、受診するほどではないかもしれない」
そう感じている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。
早めに専門家のサポートを受けることで、より快適な日常を取り戻すきっかけになるかもしれません。
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