梅雨の時期になると、なんとなく体調がすぐれない、気分が落ち込む、息苦しさを感じる……そんな経験はありませんか?
特に、パニック障害を抱えている方にとっては、この時期に症状が悪化しやすい傾向があります。本コラムでは、梅雨がパニック障害に与える影響と、上手に乗り越えるための対策について医師が解説します。
梅雨がパニック障害を悪化させる理由
1. 気圧の変化が自律神経に影響を与える
梅雨時の低気圧は、自律神経のバランスを乱しやすくなります。自律神経には「交感神経(活動モード)」と「副交感神経(リラックスモード)」があり、天気の変化により交感神経が過剰に働くと、不安感や動悸が強まることがあります。
2. 湿度が高く、呼吸がしづらくなる
湿度が高いと、空気が重く感じられ、呼吸がしづらくなることがあります。パニック障害の方は、「息苦しさ」を発作の引き金と感じることが多く、過呼吸を誘発しやすい環境となります。
3. 日照不足によるセロトニンの低下
梅雨の長雨によって日照時間が減少すると、幸福ホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の分泌が減少します。セロトニンは気分を安定させる働きがあり、不足すると不安感や抑うつ状態を引き起こしやすくなります。
4. 気温と湿度の影響による睡眠の質の低下
梅雨時は蒸し暑く、寝苦しい夜が続くため、睡眠の質が低下しがちです。睡眠不足は自律神経の乱れを引き起こし、不安感やストレス耐性の低下につながります。
梅雨時にパニック発作を防ぐための対策
1. 気圧の変化に備える
天気アプリなどで気圧の変化をチェックし、低気圧が近づくときはリラックスできる環境を整えましょう。カフェインやアルコールを控え、深呼吸やストレッチで自律神経を整えるのも効果的です。
2. 湿度を調整し、快適な環境を作る
室内の湿度を50〜60%に保つことで、息苦しさを軽減できます。除湿機やエアコンの除湿機能を活用し、快適な空間を維持しましょう。
3. セロトニンを増やす生活習慣を意識する
〇 朝の光を浴びる(曇りの日でも外に出る)
〇 軽い運動をする(ウォーキングやストレッチ)
〇 バランスの取れた食事(特にトリプトファンを含む食品:バナナ、乳製品、大豆など)
4. 質の高い睡眠を確保する
寝る前にスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる音楽を流すなど、良質な睡眠を取るための習慣を作りましょう。また、枕や寝具を快適なものにすることも大切です。
5. 不安を感じたら「対処リスト」を作っておく
〇 ゆっくり呼吸を整える(4秒吸って、4秒止めて、4秒吐く)
〇 水を飲む
〇 体を温める(シャワーやホットドリンク)
〇 誰かに話す
まとめ
梅雨の時期は、気圧の変化、湿度の高さ、日照不足などが重なり、パニック障害の症状が悪化しやすくなります。しかし、環境を整えたり、生活習慣を意識したりすることで、症状を軽減することは可能です。自分に合った対策を取り入れながら、少しでも快適に過ごせる工夫をしてみましょう。
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