梅雨の時期になると、気分が沈んだり、体がだるくなったりすることがあります。しかし、それだけではなく、パニック障害の症状が悪化する人も少なくありません。その背景には「低気圧」が関係していると考えられています。本コラムでは、低気圧がパニック障害に与える影響と、その対策について医師が詳しく解説します。
低気圧が体と心に与える影響
梅雨の時期に見られる低気圧は、私たちの自律神経に大きな影響を与えます。特に交感神経と副交感神経のバランスが乱れやすくなり、次のような症状を引き起こします。
- 動悸や息苦しさ
- めまい
- 頭痛や倦怠感
- 気分の落ち込みや不安感
パニック障害を持つ人は、これらの身体症状がパニック発作の引き金になることがあり、普段よりも不安が増す可能性があります。
なぜ低気圧でパニック障害が悪化するのか?
1. 気圧の変化が自律神経を乱す
低気圧になると、体内のバランスを保つために自律神経が過剰に働きます。その結果、交感神経が優位になり、不安感や動悸が強くなることがあります。
2. 酸素濃度の低下
低気圧の影響で、空気中の酸素濃度がわずかに下がることがあります。これにより、息苦しさを感じやすくなり、パニック発作を引き起こす要因になることがあります。
3. 気象による心理的影響
雨が続くと日光を浴びる時間が減り、気分を安定させるセロトニンの分泌が減少します。そのため、不安感が増し、パニック障害の症状が悪化しやすくなります。
梅雨時のパニック障害対策
1. 気圧の変化を予測する
気象アプリなどを活用して、低気圧が近づくタイミングを把握しましょう。事前に心の準備をすることで、不安を和らげることができます。
2. 呼吸法を取り入れる
低気圧による息苦しさを和らげるために、腹式呼吸を意識してみましょう。
鼻からゆっくり息を吸い、お腹を膨らませる。
口をすぼめて、ゆっくり息を吐く。この方法を繰り返すことで、自律神経が整いやすくなります。
3. 適度な運動をする
天気の悪い日でも、室内でできるストレッチや軽いヨガを取り入れると、血流が促進され、自律神経のバランスが整いやすくなります。
4. 栄養バランスを整える
パニック障害の症状を和らげるために、セロトニンの材料となるトリプトファンを含む食品(バナナ、乳製品、大豆製品など)を積極的に摂取しましょう。
5. 医師と相談しながら対策を考える
症状が強くなる場合は、主治医と相談しながら薬の調整を検討することも重要です。また、カウンセリングを受けることで、不安をコントロールしやすくなることもあります。
まとめ
梅雨の時期の低気圧は、自律神経を乱し、パニック障害の症状を悪化させる要因となります。しかし、事前に気圧の変化を予測し、呼吸法や運動、栄養管理などの対策を取り入れることで、症状の悪化を防ぐことが可能です。梅雨の季節と上手に付き合いながら、無理せず自分のペースで過ごしていきましょう。
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